昨年後半から風しんの患者さんが関東や関西で見られるようになり、今年に入ってすでに2000人を超える患者さんが報告(2013年3月現在)されています。その特徴は、風しんワクチンを打っていない、または1回しか打っていない20-30代の男性に多いということです。今回は風しんという病気についてお話したいと思います。
風しんとは
風しんは、風しんウイルスによって発熱や発疹をきたす病気です。俗に「3日はしか」と呼ばれ、発熱、発疹、リンパ節の腫れを特徴とします。はしかと違って、症状は軽く、かぜ症状や目の充血を伴うこともありますが、3-4日で症状は改善します。大人の場合、子供よりも症状が強く出ることがあり、関節痛が出たり、長引いたりすることもあります。
どのように感染するか
風しんは風しんにかかっている患者さんとの接触や、鼻水などの体液を介して感染します。したがって、感染予防は手洗いが重要です。
風しんの治療は
風しんに特別な治療はありません。ほとんどの人が自然治癒します。合併症もまれです。ただし、妊婦さんが感染するとおなかの赤ちゃんに重大な合併症をきたすことがあり、これが問題になっています。
先天性風しん症候群
妊婦さんが妊娠初期に風しんにかかると、かなり高い確率で、死産や流産、先天性風しん症候群という病気を引き起こします。先天性風しん症候群は、先天性心疾患、難聴、白内障を三大徴候とする症候群で、ほかに脳の発達障害、脳炎、肺炎などを起こすことがあり、おなかの赤ちゃんにとって、風しんはきわめて恐ろしい病気です。
ワクチンを打っていない世代
かつて風しんワクチンは中学生の女子にのみに接種していた時期がありました。現在のように男女とも乳幼児期に接種するように制度が変わったのは1995年4月からです。したがって、これより以前に生まれた男性(現在の20-30代)はワクチンを打っておらず、風しんの免疫を持っていません。また、現在、風しんワクチンは2回接種が推奨されており、1回では免疫が不十分で、大人になってから免疫が下がり、感染した方もいるようです。
風しんにかからないために
風しんワクチンを打っておくことがもっとも重要です。1回しか打っておらず、免疫があるかどうか心配な場合は血液検査(自費)で調べることができます。風しんワクチンは妊娠していると接種することができません。女性の方は妊娠を考える前に、ぜひ風しんワクチンの接種をお勧めします。男性もワクチンを接種して、周りの女性にうつさないよう協力してください。現在、風しんワクチンの品薄状態が続いていますが、麻しん風しんワクチンなら在庫は十分あるようです。
文責:北村和也