今年は空梅雨のせいか、例年より気温が高く、6月だというのに30度以上の猛暑日が続いています。梅雨から夏へとうつるこの季節は、体がまだ暑さに慣れておらず、熱中症になりやすい時期です。特に小さな子供さんやご高齢の方は熱中症になりやすく、室内でも熱中症は起こりえます。今回は熱中症についてお話しようと思います。
「熱中症」はなぜ起こるのか
猛暑の中、体を動かしていると、徐々に体温が上がってきます。すると、体は体温を下げようとして、皮膚の血管を開いたり、汗をかいたりすることで、体温を下げようとします。この「汗をかく」ことが体温の調節にとても重要で、汗が蒸発する時に熱を奪っていくことを利用して、体温を下げよう(暑い日に打ち水をして、気温を下げようとする原理と同じです)とします。しかし、十分な水分を摂らずに運動したり、湿度が75%を超えるような蒸し暑い日で汗が蒸発しにくい状況だと、体温の調節がうまくいかなくなり、体の中に熱がこもりすぎて、体温が上昇し、様々な症状をきたします。これが熱中症です。特に小さい子供や高齢の方、糖尿病や心臓病などの持病のある人は、汗を十分にかくことができないことがあり、特に注意が必要です。
「熱中症」の症状は?
熱中症が軽い場合、体がだるい、めまいがする、頭が痛い、動悸がするなどの症状が出たりします。脱水状態のため、尿があまり出なくなるのが特徴です。しかし重症になってくると、意識がもうろうとし、けいれんを起こしたり、意識不明になったりすることがあります。この時、体温はかなり高熱(40.5度以上)になっています。
「熱中症」と思ったら
熱中症かなと思ったら、すぐに暑い場所から離れ、涼しい日陰で体を休めて、水分を多く摂りましょう。この時、カフェインやアルコールは利尿作用があり、かえって熱中症を悪化させることがあるので、摂らないで下さい。 30分たっても症状が治まらないときは、医師に相談しましょう。熱中症はきちんと治療しないと、重症化することがあります。
家族や知人が熱中症かもしれないと思ったら、その人をすぐに涼しい日陰に連れて行き、水分を摂らせましょう。自分で水分を摂れない場合は、病院に連絡してください。必要のない衣服を脱がせ、体に冷たい水をかけると、体温が下がってくることがあります。ぬるま湯でその人の体を湿らせ風を送ると、水分が蒸発する時に体から熱を奪ってくれます。
「熱中症」にならないために
暑さの厳しい日や湿気の多い日は外で運動しないようにしましょう。屋外で作業がある場合は、その前後、途中でしっかり水分補給してください。この時、塩分の濃度が1%くらいの飲み物(スポーツ飲料など)が理想的です。暑い日はあまり着込まず、涼しい格好をして、アルコール以外の水分を多めに摂るようにして下さい。酷暑の時(室内の温度が30度を超えるような時)は節電よりも体のことを考え、エアコンを使いましょう。熱中症かもしれないと思ったら、早めに医療機関に相談して下さい。
文責:北村和也