ロタウイルスは主に乳幼児に流行する胃腸炎の原因として有名で、ノロウイルスをはじめとした他の胃腸かぜのウイルスよりも症状がひどく、長引くのがのが特徴です。冬の終わりから春先にかけて流行するのも特徴で、これからがロタウイルス胃腸炎の季節を迎えます。今回はロタウイルス胃腸炎についてお話したいと思います。
ロタウイルス感染
ロタウイルスは、5歳までに一度は感染するとされ、そのピークは生後6-24ヶ月にあります。1回の感染で完全な免疫はできませんが、感染を重ねるにつれ、徐々に免疫ができるため、大きくなるにつれ、だんだんかかりにくくなります。このため大人も感染することがありますが、重症化することはまれです。日本では毎年120万人がロタウイルス胃腸炎に感染し、約8万人が入院しています。
ロタウイルスの感染経路
通常の胃腸かぜのウイルス同様、主な感染経路は糞口感染で、感染者の吐物や下痢などを触った手を口に持っていくことで感染します。このため、感染予防は手洗いがもっとも重要です。潜伏期は約1-3日間で、症状が強いときに感染力が強いとされています。
ロタウイルス胃腸炎の症状
他の胃腸炎と違って症状が激しいのが特徴です。急な胃腸炎症状（水様性下痢、嘔吐）や発熱などが1週間近く持続します。血便になることはまれです。白っぽい水様下痢が特徴とされていますが、必ずしも白っぽくなるとは限りません。初感染で重症化することが多く、乳幼児では頻回の嘔吐や下痢のために、経口摂取が追いつかず、脱水になって入院加療が必要になってしまうことがしばしばです。またけいれんや脳症などを合併することもあります。特別な治療法はなく、安静と十分な水分摂取が重要です。
ロタウイルスにかからないために
欧米諸国では、ロタウイルスワクチンが定期接種化され、ロタウイルスで入院するケースが激減しました。日本でも2011年から任意接種ですが、ロタワクチンを利用することが可能になりました。日本で利用できるロタワクチンは2種類ありますが、いずれのワクチンも接種することで、ロタウイルス胃腸炎の重症化を防ぐことが実証されています。ただ接種費用が他のワクチンと違って高額なため、当クリニックでも接種をためらうご両親もおられ、早期の定期接種化が望まれます。
文責；北村和也
