9月~10月の秋は、春の5月と並んで喘息発作が起きやすい時期です。急激に気温や気圧、湿度が下がることで発作が起こりやすくなるためだと言われています。また寝入ってしばらくしての夜10:00頃と、明け方5:00頃には同じように気温の変化などで激しい発作が起こりやすい時間帯です。これまで喘息とは診断されていない方でも、この季節や時間帯に咳や息苦しさを感じる場合には喘息が隠れている可能性があります。
喘息は肺の中にある気管支が狭くなって起こります。狭くなる原因としてはアレルギーが有名であり、ハウスダストやダニは最大の原因です。一方で、風邪などのウイルス感染によっても同じように気管支が狭くなって喘息症状が起こることがあります。また、風邪などを引いた後は気管支が反応しやすくなっており、普段なら症状が起こらならないような刺激にも反応して気管支が狭くなってしまうことがあります。
気管支が狭くなってしまう背景には、気管支の慢性的な炎症があるというのが最近の考え方です。この慢性的な炎症を抑えるための治療として、ステロイド吸入治療が行われるようになりました。もともと重症の喘息に対してステロイドは注射や点滴で使われていたのですが、吸入治療はより副作用が少なくて済むため、重症になる前に、症状を悪化させないための治療として行われるようになってきたのです。成人では普及した治療ですが小児喘息についてはアメリカのガイドラインと比較して日本ではやや慎重であり、小児アレルギー専門医のもとで使うことが望ましい、とされております。
当院で喘息の治療に使われる主な薬は次のようなものがあります。
・吸入薬
① パルミコート、フルタイドなど:吸入ステロイド薬です。気管支の慢性的な炎症を鎮める効果があり、喘息発作を起こりにくくする作用があります。
② シムビコート、アドエアなど:吸入ステロイドと気管支拡張剤が合わせて入っている吸入薬です。発作を鎮める効果と発作を起こりにくくする効果の両方が期待できます。
③ メプチン(エアー)、サルタノールインヘラーなど:短時間作用型の気管支拡張剤です。気道が急に狭くなって息苦しい時に効果があります。
④ ステリネブなど:吸入器を使って霧状にして吸入する薬です。アレルギー反応を抑え発作が起こりにくくなる効果があります。
・貼り薬
① ホクナリンテープなど:気管支拡張剤を貼り薬にして皮膚から吸収させるものです。上手に吸入ができない小さい子供や夜間に苦しくなってしまう方に使います。
・内服薬
① プランルカスト、キプレスなど:抗アレルギー剤で、ロイコトリエンという物質を抑えることによって喘息発作の予防に効果があります。
② ベラチン、メプチンミニなど:気管支拡張剤です。吸入薬などがうまく使えない場合に処方します。
③ プレドニンなど:ステロイドの内服薬です。発作が強い時に短期間限定で処方します。
文責:下島卓弥