手足口病とは

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 今年も7月に入ってから手足口病の患者さんが徐々に増えてきました。5年ほど前に流行した手足口病ですが、今年も流行のきざしがあります。今回は手足口病という夏かぜについてお話したいと思います。

 

手足口病の症状
 手足口病は、その名のとおり、手、足、口に発疹ができる病気です。手のひらや足の裏などに数ミリ大の水ほう(水疱)が、口の中には口内炎のようなもの(アフタ)ができるのが特徴です。ひざやおしりにも発疹が出ることが多く、私たちは「手、足、口、ひざ、おしり」病と説明しています。かつては手のひらや足の裏に発疹が限局していることが多かったのですが、ここ数年の手足口病の発疹は腕や足(下腿)にも出ることが多くなりました。教科書的には高熱が出ることは少ないとされていますが、最近の手足口病は高熱が出て、数日で下がった後に発疹が出るというパターンの患者さんが多いようです。

 乳幼児に圧倒的に多いですが、まれに大人も感染することがあります。熱は数日で、発疹も1週間程度で改善します。口の中にアフタができると、痛くてあまり食べられなくなり、小さい子供さんだと脱水になって点滴が必要になることもあります。まれに髄膜炎を起こすことがあり、元気がなく、ぐったりしていたり、何回も嘔吐を繰り返す場合は注意が必要です。

 

 

どのようにしてうつるのか
 手足口病はエンテロウイルスという夏風邪のウイルスによって引き起こされます。エンテロウイルスは患者さんの鼻水や唾液、水疱の中にいて、それらを触って口に持っていくことで感染(経口感染)します。したがって、手洗いがもっとも有効な予防法とされています。手足口病のウイルスはおよそ数週間にわたって患者さんの便に排泄されるので、症状が改善しても感染する可能性があります。したがって短期間だけ隔離してもあまり意味がなく、またほとんどが軽症で自然治癒するため、学校保健法でも隔離する感染症には含まれていません。ただし症状の強い時(発熱や口の中の痛みによる食欲低下などがある)は自宅で安静にしましょう。

 

治療法は
 特別な治療はなく、ほとんどが自然に改善します。喉を痛がるときは、熱いものや辛いものなど、喉にしみるようなものは避けましょう。前述のようにまれですが、髄膜炎の合併に注意する必要があります。

文責:北村和也